【 お世話になりました。 -Homeland- 】

昨年末に力尽きた、17年前から使ってきたリード。
樽見が人生で初めて買ったドゥドゥク の
付属品であり、どの演奏会場でも携え、
吹き、音も録ってきた1本です。

自身で使うリード群に関しては
「壊してしまった経験」も「壊された経験」も、
どちらも樽見にはありますが、
「使い続ける中で本当に力尽きるのを見る」のは
今時期が初めてで、とても複雑な色合いです。

「 ”力尽きたリードはどんな状態か?” を学べたし、
“ドゥドゥクのリードは何年もつの?”についても、
樽見としての見解を説明できるようになった。」と
述べるべきところですが(これも確実に本音)、
内心、気持ちの整理には時間を要しました。

初めての この1本が 超絶吹きやすかったから
17年前の樽見も”ドゥドゥク やれそう”って
思えたのです。

2本目、3本目…とドゥドゥクを買い揃えても、
届くのは最初の1本目とは似つかない
吹き難いリードばかりだったから
(当時はどこをどうやっても全く
発音不可なリード等も多かったのです。)
「なぜ ”吹きやすさ” が、これほど違うのか?」を
考えるとか、削る行動を試みる機会が出来たのです。

そして、この1本の音色を気に入っていました。
吹いていられる基準のようなものでした。

“一番初めに持つ楽器” これって超絶、大事です。
持った後、自分にどんな気持ちが起こる
可能性があるのか、左右し得る。

全く音を出せないドゥドゥクが最初の1本として
届いていたら樽見はとっくに匙を投げていました。

1stドゥドゥク は自分自身のHomelandの一つです。
昨秋に制作した カヴァーアルバム” Duduk Blue ”。
日本、アルメニア、世界の歌を様々録った中、
収録曲の最後に ” Homeland ” という
1曲を置きました。

慎重にこの1本のリードの調子を整え続け、
ようやくHomelandを録れる状態にしてRec。
明るさも陰りも含む、Japanese Dudukを
録れた実感をよく覚えています。
その制作を終えてしばらくの後、
この1本のリードはほんとうに、
すっかりと 音を出せなくなりました。
長旅を終えたのだなと思っています。

Duduk From Japan - Yas.Tarumi's Official Web Site -

アルメニアの民族楽器ドゥドゥク奏者 兼 シンセサイザーサウンドクリエイター 樽見ヤスタカ(Yas.Tarumi) 公式ホームページ

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