
アルメニアに来たからには、もう一人会っておきたい人がいました。
ドゥドゥク奏者のSuren Asaturyan 御大。
僅かなきっかけから彼の作ったドゥドゥクとリードを購入する機会がありました。
まず市場に出回る機会のない彼のドゥドゥクとリード。しかし、彼の選ぶリードには
一貫性のようなものがはっきりと音色・吹き心地に刻まれていて。
彼の作るリードで吹くと、「ほとんどはうまくいく」と自分で暗示をかけられそうなほど
樽見にとってはマッチするものでした。その後、度々リードを購入する中で
今回のアルメニア滞在の予定を伝えたところ、彼は非常に喜んでくれました。
いや、喜んでくれたというよりも、あれは「ウキウキし過ぎてくれた」という方が
きっと正しい。ご自宅にあがらせてもらうと、まるで孫が帰ってきたみたいに
満面の笑みで出迎えてくれた。
彼はおそらく、とにかくドゥドゥクを吹くのが好きだ。
ご自宅でゆっくりさせてもらう間、ほとんど喋るかドゥドゥクを吹いてるかのどちらか。
レッスンのようで、レッスンともいえないような、先生の吹いたフレーズを
真似てみては音を拾いにゆくようなコミュニケーションをしばらく続けて。
帰国後も時折電話をかけてきてくれるし、新しいリードはどうか?と
案内もして下さるようになった。彼の全ての言葉を理解できてはいないけど、
彼は随分と前から、トルコやアゼルバイジャン出身の奏者とも積極的に
ユニットを組むなどを試みてきた。その当時からの苦労話を
後半はなさっていたと思う。
アルメニアの方たちは仲間と思って頂けると
すごく温かくなる。Surenさんも例外でない。
「今日からここは君の家でもあるよ!」と。
そんなセリフは日本では殆どの方が言わないと思いますが、
彼の口からのそれは、本当に心からそう言ってくれているように感じた。
地元愛溢れる、柔らかな音色と、アルメニアンドゥドゥクらしい
特徴的な装飾音。それらを少ない滞在時間で感じ取れるには限りが
あったけど、最も重要なポイントは彼のホスピタリティ溢れる気持ち。
それがドゥドゥクの音色へ最後の仕上げを施しているように思えました。
コメントを残す